SIMの役割は、プラスチックのカードでも、スマートフォンに内蔵されていても同じで、主に1つです。あなたのスマートフォンがネットワークに接続してよいこと、そしてどのプランで接続するかを、モバイルネットワークに証明することです。その証明がどこにあるかによって、買い方、差し替え方、スマートフォンをなくしたときに起こることが変わります。一方、いったんつながってしまえば、通信でできることは変わりません。
ひと言でまとめると
- 物理SIM: チップの付いた取り外し可能なカードで、スマートフォンのトレイに差し込みます。店で買うか郵送で受け取り、別のスマートフォンに差し替えることもできます。
- eSIM: スマートフォンに固定された内蔵チップで、ダウンロードしたプロファイルを保存します。カードは使わず、QRコードを読み取るか、いくつかのコードを入力してプランを追加します。
- どちらも同じネットワークに同じ方法で接続し、ネットワークとスマートフォンが対応していれば4Gや5Gを使います。
- 今では多くのスマートフォンが、物理SIMとeSIMを1つずつ、または複数のeSIMプロファイルを使えます。これこそが、eSIMが旅行にとても便利な理由です。
形:手に持つカードか、ダウンロードするプロファイルか
物理SIMは年々小さくなり、標準SIMからmicroSIM、そして現在のnanoSIMへと変わってきましたが、スマートフォンのトレイに合うカードであることに変わりはありません。一方、eSIMのチップは端末内に固定されていて、取り出すことはありません。変わるのは、そこに書き込まれるプロファイルです。これは、事業者のサーバーからダウンロードされる、識別情報とネットワーク設定の小さなパッケージです。
だからこそ、eSIMを買うと届くのは小包ではなくQRコードなのです。QRコードを読み取ると、スマートフォンにプロファイルの取得先(SM-DP+アドレス)と、どのプロファイルが自分のものか(アクティベーションコード)が伝わります。スマートフォンはWi-Fi経由でそれをダウンロードし、設定画面のすでにある回線の横に新しい回線が表示されます。
入手方法:店頭、郵送、それとも受信トレイ
物理SIMは、実際に手元に届く必要があります。国内なら簡単ですが、海外ではショップや売店を探し、現地のルールによっては身分証明書を提示し、外国語のメニューやスタッフとのやりとりをこなさなければならないこともあります。しかも、長旅の直後であることが多いのです。事前に注文する旅行用SIMカードは、郵送に時間がかかります。
eSIMはデジタルで届きます。たとえばHelloSIMでは、支払い後すぐにQRコードがメールで届き、アカウントとアプリにも保存されます。何日も前に購入し、自宅のWi-Fiでインストールしておけば、飛行機を降りた時点で回線の準備は完了しています。購入はメールアドレスだけでゲストとして行えます。
切り替えと複数のプロファイル
物理SIMの差し替えでは、SIMピンを探し、爪より小さなカードを扱い、抜いたほうをどこにしまったか覚えておく必要があります。eSIMの回線の切り替えは、メニューで選ぶだけです。
eSIM対応のスマートフォンの多くは複数のeSIMプロファイルを保存できますが、同時にいくつ有効にできるかは機種によって異なります。よくある組み合わせは、物理SIMとeSIM、またはeSIM 2つを同時に有効にする形です。このデュアルSIMの構成なら、次のことができます。
- 通話とSMSのために、いつもの番号をオンのままにしておく
- モバイルデータ通信には旅行用eSIMを使う
- データ、通話、メッセージをどちらの回線で扱うか、回線ごとに決める
今使っていないプロファイルは、削除しなくても、オフにしておくだけで済みます。
セキュリティと紛失
物理SIMは数秒で取り出せます。スマートフォンが盗まれると、カードを抜いて別の端末に入れ、あなた宛てのSMSを受け取られるおそれがあります。SIM PINを設定しておくべき理由の1つです。
eSIMはスマートフォンから抜き取って別の端末に差し込むことができないので、そのリスクはなくなります。財布から落ちることも、うっかり入れ替わることも、ホテルの部屋で行方不明になることもありません。
その裏返しとして、プロファイルはそのスマートフォンのものです。端末が壊れても、カードのように予備の端末にeSIMを移すことはできません。HelloSIMのような旅行用eSIMは1台のスマートフォンにインストールするもので、QRコードも一度だけのインストールを前提としています。QRコードは鍵のように扱い、人と共有したり、写真を投稿したりしないでください。
旅行に向いているのはどっち?
SIMロックが解除された最近のスマートフォンを持つほとんどの旅行者にとっては、eSIMのほうが便利です。
- 着陸後にショップを探す必要がない
- 普段のSIMはスマートフォンに入ったままなので、いつもの番号で電話もSMSも受けられる
- なくしたり壊したりする小さなカードがない
- すべて出発前に自宅で設定できる
- あとから再インストールせずに、同じeSIMにデータを追加できる
一方、物理SIMのほうが有利な場面もいくつかあります。
- スマートフォンがeSIMに対応していない、または1つの携帯会社にロックされている
- 中国本土、香港、マカオで販売されたiPhoneを使っている(その多くは、eSIMではなく物理SIMスロットを2つ備えています)
- 同じ回線を、複数の端末の間で頻繁に移し替える
自分のスマートフォンを確認するには、設定に「eSIMを追加」のような項目があるか探してください。iPhoneは「モバイル通信」、Androidは「SIM」や「SIMマネージャー」の中にあります。eSIM対応の代表的な機種は、iPhone XS・XR以降、Google Pixel 3以降、最近のSamsung Galaxy SシリーズとZシリーズ、そして多くのAシリーズです。
どちらか一方を選ばなければいけない?
実はそうではありません。デュアルSIMのスマートフォンなら2つを並べて使えます。いつもの番号用の普段のSIMと、旅行中のデータ用のeSIMという組み合わせこそ、ほとんどの人が旅行用eSIMを使う方法です。HelloSIMのeSIMはデータ専用で現地の電話番号はないため、通話やメッセージはWhatsApp、FaceTime、Telegramなどのアプリで行い、いつもの番号はそのまま残ります。
WhatsAppのアカウントにも影響はありません。いつもの番号で登録されたままで、eSIMは動作に必要なデータを供給するだけです。
